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NORTH 北海道地域ネットワーク協議会~北海道をもっとゆたかに~

 
今様経路制御事情
ネットワークが成熟して、研究対象から生活必需品(社会資本)へと変貌するにしたがって、
ネットワーク利用者の目的や形態が多様化してきました。その結果、経路制御は単につながる
以上の事情を考慮しなければならなくなりました。

ポリシーに基づいた経路制御

現在の経路制御事情に深刻な影を落としている問題、それがIPアドレスの枯渇の問題と経路制御エントリの爆発的増加の問題です。


IPアドレスが足りなくなる… エントリが多すぎて経路制御できなくなる…



ポリシーに基づいた経路制御

車庫を想像してください。車の出し入れをしようと思ったら方針は1つしかありません。車庫の出入り口を通るのです。
では交差点を想像してください。経路制御は交通整理みたいなものです。
そこはごく普通の交差点で一方からやってきた車には5つの選択肢があります。直進する。右折する。左折する。もと来た道をもどる。
そしてどれも選択しないの5つです。右へ行くと札幌方面、左へ行く旭川方面だとします。
「でも釧路へ行きたいんだよねぇ」って人は右にも左にも行けません。ここでは直進すると無事釧路にたどり着けるとします。
ここまでの条件で経路制御を行っていたのが研究段階だったInternetの経路制御です。
ただしく経路が選択され通信が行われればそれで良い(そこまでが大変)のです。
しかし例えば直進路は私道で持ち主の友達しか通れないとします。持ち主の友達ではない人は別な選択をしなければなりません。
このようにまったく政治的な理由で経路制御が行われなければならなくなりました。これを "ポリシーに基づいた経路制御"といいます。
先ほどの例では交差点の向こうとこちらで道の利用方法について政治的に明確な差があったことにお気づきでしょうか。
向こう側は私道、こちら側は公道です。

同じ政治的方針を適用されるネットワーク群 : AS

AS(Autonomous System : 自律システム)
あるいは経路制御ドメインといったりもします。
ある資金源によりある方針で運営されているバックボーンに接続している部分ネットワーク

一般的に "交差点で交通整理をやってるマシン" のことをゲートウェイマシンと呼んだりしますが、
前述のようなポリシーの境目にあるゲートウェイを "ボーダーゲートウェイ(BG)" といいます。大雑把に言えば、


隣のASとの接点にあるゲートウェイ : BG

BG(Border Gateway):ボーダーゲートウェイ

前述の交差点に新たに道が引かれました。交通整理のお兄さん(BG)は「この道はどこに続いてるのか。誰を通して良いのやら。」
ということを知る術がなくてはなりません。経路制御に関して言えば機械のことですから
「手続き(プロトコル)」を決めておいてやらなければなりません。


他所のASのBGとの手続きを総称してEGP

(Exterior Gateway Protocol)と呼びます。EGPは他所のASと話をするわけですから政治的な話ができなければなりません。
これに対して政治向きの話のできない経路制御プロトコルをIGP(Interior Gateway Protocol)といいもっぱらAS内の経路制御に使われます。
このように「ポリシーに基づいた経路制御」を行う場合にはEGPに注目する必要があります。
BGPはEGPの一つでEGPの標準的なプロトコルになるであろうと目されているプロトコルです。
このBGPの最新の仕様はversion 4でBGP-4と呼ばれています。またBGP-4はCISCO2000などの代表的なルータやgated-R3に実装されています。
一方、IGPにはRIP、OSPFと言ったプロトコルが含まれます。


経路エントリの集約

経路制御は表によって行われていますがいままで主に用いられていた表は次のようなものでした。

行先この交差点での選択
札幌市北区
札幌市東区
札幌市西区
札幌市南区
札幌市白石区
札幌市豊平区
旭川市豊岡
旭川市新富
旭川市神楽
旭川市神居
旭川市川端


これが全番地分とまではいわないまでも全区画分あったら、それも世界中の分、
そう考えるとどんな大きさの紙をもってしても表は書き切れなくなってしまいます。
そこでこの表を次のように順々に使うことを考えました。

ある交差点の経路制御表

行先この交差点での選択
札幌市
旭川市


札幌方面のその先の、またとある交差点での経路制御表

行先この交差点での選択
札幌市北区
札幌市東区
札幌市西区
札幌市南区直進
札幌市白石区
札幌市豊平区直進

実際のIPアドレスは階層の切れ目(クラス)が固定でこのように柔軟に住所を区切って適当に十把ひとからげにして経路制御することはできませんでした。
そこで、クラスの適用をやめて適当なところで住所を区切って経路制御をしようという流れになっています。
これをCIDR(Classless Inter-Domain Routing)といいます。また、このようにして経路制御表を小さくすることを集約あるいは集積(aggregation)と言います。
経路情報の集約は、経路制御全体の関心事で、前述のEGP/IGPの区別とは別次元のものです。
ですから比較的新しい経路制御プロトコル(BGP、OSPFなど)は経路制御の集約を考慮した(可変長ネットマスクが扱える)仕様になっています。

 

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